少女(おとめ)
露のしげくもぬれにけるかな
冷泉帝の御代が始まり、源氏は太政大臣として栄華の頂点に立つ。嫡男・夕霧が元服し六位から大学寮へと進む一方、内大臣の娘・雲居雁との初恋は引き裂かれる。六条院の盛りと、若い男の苦労と涙とが交差する、笑ひと哀れが混じり合ふ一帖。
冷泉帝の御代が始まり、源氏は太政大臣として栄華の頂点に立つ。嫡男・夕霧が元服し六位から大学寮へと進む一方、内大臣の娘・雲居雁との初恋は引き裂かれる。六条院の盛りと、若い男の苦労と涙とが交差する、笑ひと哀れが混じり合ふ一帖。
亡き夕顔の遺児・玉鬘が九州の筑紫から上京し、初瀬参りの帰路に夕顔の旧侍女・右近と劇的な再会を果たす。源氏の六条院に引き取られた玉鬘。養父としての温かさと、それとは少し違ふ何かが、源氏の胸に芽生へ始める。
六条院の正月。鶯の初音に寄せた歌が飛び交ひ、新春の晴れやかな気配に満ちる一帖。源氏は各御殿を回り、紫の上・花散里・明石の御方・秋好む中宮・玉鬘それぞれと歌を交はす。六条院の豊かな賑はひと、それぞれの女性の想ひが短い歌に光る。
六条院の春爛漫。紫の上の春の御殿から蝶に扮した童女の舟が池を渡り、秋好む中宮の御殿へ春の花を届ける。柏木をはじめ玉鬘への求婚者たちが増すなか、六条院の華やかさと、その裏で揺れる恋の季節が始まる。
六条院の夏、玉鬘のもとへ男君たちの恋文が次々と届く。内大臣の粗野な娘・近江の君の騒々しさと玉鬘の気品とが対比され、光源氏もまた養女への密かな慕情に揺れる夏の一日が描かれる。
六条院の秋の夜、篝火を焚きながら源氏と玉鬘が語り合ふ。ほんの短い帖でありながら、火と煙のやうに制しきれぬ源氏の恋心が密やかに描かれる。源氏物語最短の帖。
台風(野分)が六条院を吹き荒らす日、夕霧は庭を見回るうちに偶然、御簾越しに紫の上の姿を垣間見てしまふ。その圧倒的な美しさに心乱れた夕霧の目を通して、源氏の最愛の人の姿が描かれる。
冷泉帝の大原野行幸に際し、内大臣は玉鬘の輿入れを正式に打診される。源氏は玉鬘を手放すことを決意しつつ、最後の別れを惜しむ。やがて髭黒との縁組が静かに近づいてくる。
秋の野に咲く藤袴を贈りながら、夕霧・蛍宮らが玉鬘へ恋を訴へる。内大臣の子である柏木も加はり、実の父・兄弟との知らぬままの交流が続く。玉鬘の婿選びは佳境を迎へる。