げんじものがたり しゅようとうじょうじんぶつ
源氏物語 登場人物
千年の時を超えて人の心を動かす、個性豊かな人物たちの肖像。
源氏物語に登場する主要な人物を、物語の流れに沿って紹介します。
光源氏と帝・家族
物語の中心にいる人物たち。光源氏の出生から輝かしい生涯を支えた父や母、兄弟。
| 人物名 | 読み | 身分・役割 | 人物紹介 |
|---|---|---|---|
| 光源氏 | ひかるげんじ | 主人公・貴公子 | 桐壺帝の第二皇子として生まれ、臣籍降下して源氏姓を賜る。美貌・才能・風雅の三拍子が揃い「光る君」と称された。多くの女性と恋を結びながら、政界を生き抜き栄光の絶頂に至る。 |
| 桐壺帝 | きりつぼのみかど | 源氏の父・天皇 | 臣下出身の桐壺更衣を溺愛し、宮廷の反感を買うほどに寵愛した帝。更衣の死後も悲嘆に暮れ、その面影を持つ藤壺を迎える。 |
| 桐壺更衣 | きりつぼのこうい | 源氏の母 | 帝に深く愛されたが、身分不相応の寵愛が他の女御・更衣の嫉妬を招き、心身を消耗して源氏が幼い頃に早世した。源氏の生涯に影を落とす存在。 |
| 朱雀帝 | すざくのみかど | 源氏の兄・天皇 | 弘徽殿女御の子。温厚で源氏に好意的な帝。源氏の須磨退去中は政権を握る右大臣・弘徽殿派に翻弄されるが、退位後は仏門に入る。 |
| 夕霧 | ゆうぎり | 源氏の息子 | 源氏と葵の上の間に生まれた息子。父とは対照的に誠実・謹厳な性格。幼馴染みの雲居雁との純愛で知られるが、晩年は夕霧帖で親友・柏木の未亡人への横恋慕も描かれる。 |
光源氏をめぐる女性たち
源氏が生涯にわたって愛した、個性豊かな女性たち。それぞれが源氏の人生の一章を彩る。
| 人物名 | 読み | 身分・役割 | 人物紹介 |
|---|---|---|---|
| 藤壺 | ふじつぼ | 桐壺帝の中宮・源氏の想い人 | 桐壺更衣に生き写しと言われ、帝に迎えられた女御。幼い源氏の継母でありながら、禁断の恋の相手となる。密通の末に今上帝(冷泉帝)を産み、その秘密を抱えたまま出家。 |
| 紫の上 | むらさきのうえ | 源氏の最愛の妻 | 藤壺の姪にあたる少女。源氏が理想の女性に育て上げ、北の方として最も深く愛した。女三宮の降嫁で心を痛め、信仰に安らぎを求めながら病の床に就き、源氏に先立って世を去る。 |
| 葵の上 | あおいのうえ | 源氏の正妻 | 左大臣の娘。誇り高く源氏とは長く打ち解けなかったが、夕霧を出産直後に六条御息所の生霊に取り殺される。その死が源氏と六条御息所の悲劇の発端となる。 |
| 六条御息所 | ろくじょうみやすんどころ | 前東宮妃・源氏の恋人 | 知性と気品を兼ね備えた高貴な女性。源氏への執着が生霊となって現れ、葵の上と夕顔を死に追いやる。娘・秋好中宮を宮中に残して伊勢へ下り、後に薨去。その怨霊は源氏の晩年まで祟る。 |
| 夕顔 | ゆうがお | 短命の恋人 | 頭中将の愛人だった女性で、玉鬘の母。白い夕顔の花咲く簡素な家に住んでいた。源氏と密やかな恋に落ちるが、物の怪(六条御息所の生霊とされる)に取り殺されてしまう。 |
| 空蝉 | うつせみ | 人妻・後に出家 | 伊予介の妻。身分の低さを理由に源氏の求愛を拒み続け、その後も出会うたびに逃げ続けた。夫の死後に出家し、晩年は源氏の六条院に庇護される。 |
| 末摘花 | すえつむはな | 常陸宮の姫 | 没落した宮家の姫君。古風すぎる装いと際立つ赤い鼻が特徴だが、一途で純粋な性格を源氏は哀れみ、生涯にわたって面倒をみた。ユーモラスな存在として描かれる。 |
| 明石の君 | あかしのきみ | 明石の入道の娘 | 須磨へ流謫された源氏と明石で出会う。身分の低さに引け目を感じながらも源氏の子(明石の姫君)を産む。その娘が後に中宮となることで、明石の一族は栄花を極める。 |
| 朧月夜 | おぼろづきよ | 弘徽殿女御の妹 | 春の夜の宴で源氏と運命的に出会う。朱雀帝の尚侍となった後も源氏との密会を続け、この関係が露見したことで源氏は須磨流謫を余儀なくされた。 |
| 花散里 | はなちるさと | 源氏の女性のひとり | 麗景殿女御の妹。おおらかで穏やかな性格。源氏の六条院では夕霧の養育を担い、実質的な後見役として信頼された。華やかさより誠実さで源氏の心を繋いだ女性。 |
源氏の友人・政敵
宮廷の政治と人間関係の中で、源氏と交わった男性たち。
| 人物名 | 読み | 身分・役割 | 人物紹介 |
|---|---|---|---|
| 頭中将 | とうのちゅうじょう | 源氏の親友・ライバル | 左大臣の息子で源氏の義兄。詩歌・管弦・武芸と何でもこなす好男子。源氏とは幼少より親友かつライバルで、数多くの女性を巡って競い合った。後に内大臣として権勢をふるう。 |
| 弘徽殿女御 | こきでんのにょうご | 右大臣の娘・源氏の政敵 | 右大臣の娘で朱雀帝の母。桐壺更衣を敵視し、その子である源氏を生涯にわたり敵対視した。右大臣派の中心人物として、源氏の須磨流謫に関与する。 |
| 柏木 | かしわぎ | 頭中将の息子 | 頭中将の長男。女三宮への激しい思慕が抑えられず、酒宴の隙に密通してしまう。その後、源氏の冷たい視線を感じ取り、罪の意識と恥辱から病み衰えて若くして死去する。 |
| 女三宮 | おんなさんのみや | 朱雀院の皇女・源氏の北の方 | 朱雀院が老後を案じて源氏に降嫁させた皇女。幼く無邪気な性格で、紫の上が心を痛めた相手。柏木との密通により薫を産み、その後出家して尼となる。 |
第三部(宇治十帖)の人物
源氏亡き後の宇治を舞台に、薫と匂宮が織りなす愛と苦悩の物語の担い手たち。
| 人物名 | 読み | 身分・役割 | 人物紹介 |
|---|---|---|---|
| 薫 | かおる | 第三部の主人公 | 名目上は源氏の子だが、実は女三宮と柏木の不義の子。生まれながらに体から芳香を放ち「薫君」と呼ばれる。誠実で思索的な性格ながら、宇治の姫君たちへの関わりは次々と悲劇を生む。 |
| 匂宮 | においのみや | 源氏の孫・貴公子 | 明石中宮と今上帝の息子で源氏の孫。薫の芳香に対抗して香を焚き染める、華やかで好色な貴公子。薫とは親友にして恋敵で、宇治の姫君をめぐって深く競い合う。 |
| 八の宮 | はちのみや | 宇治の宮・薫の精神的師 | 宇治に隠棲する落魄の親王。俗世を捨て仏道に沈潜する姿が薫の心を引きつける。娘・大君と中君を残して薨去したことが宇治十帖の悲劇の出発点となる。 |
| 大君 | おおきみ | 八の宮の長女 | 薫が深く愛した宇治の姫君。妹・中君を薫に任せることを望み、みずからは愛を拒み続けて若くして世を去る。その死が薫の生涯に癒えない傷を残す。 |
| 中君 | なかのきみ | 八の宮の次女 | 大君の妹。匂宮と結婚して京へ上るが、匂宮の浮気性に悩まされ続ける。薫の姉への想いを自分に向けるまなざしにも苦しみ、異母妹・浮舟を薫に紹介することになる。 |
| 浮舟 | うきふね | 宇治十帖のヒロイン | 八の宮の落胤(隠し子)。薫と匂宮の双方に愛され、その狭間で苦悩した末に宇治川へ身投げする。奇跡的に命を取り留め、横川の僧都に救われて出家。最終的には薫や匂宮の求めを断ち切る。 |
※ 人物の読み方・役割は諸説あります。ここでは代表的な解釈に従っています。